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14 ドサッ!

「ウンチした? おしっこ?」おまるから赤ちゃんを抱き上げながら、若い母親が問う。これでおむつもちゃんと取れて、定期的にお通じもあるし、良かったわと安心しながら。

ドイツ語で「ドサッ」とは何と言うのか知らないが、育ち盛りのキンダー(子供)の毎日の生活で、最も頻繁であり、緊張を伴うあの行事を描写するには、特別な言葉があるはずだ。そう...シャイセ(糞)がファンネ(便器)に当たるあの瞬間のことだ。定期的にお通じがある人もない人も、その結果は(ドイツでは)必ず...「ドサッ」である。「パシャッ」でも「ドブン」でも、ましてや...いや、失礼、とにかく「ドサッ」に当てはまる、擬音的に正確なドイツ語の単語が存在するのであろう。

あの平らになった部分のせいだ。棚と呼ぶ人もいるだろう。陶器製の妨害物。いったい何故?

行きたくなったら行くしかない、これだけは我慢する訳にはいかない。人類の原始の時代には、誰も問題にすらしなかった事だろう。社会的レベルでね。その後共同生活が発達し、家族から部族へ、村へ、町へと共同体の単位が発達するに連れ、臭いゴミの処理方法が色々考案された訳だ。

パリジャンにとって、「足音なき一歩」は、ごく最近まで日常のことだったが、あれは毛並みのお手入れも行き届いたニコニコ顔のワンちゃん達が、公衆便所でのご主人様たちの行為を、道の真ん中で真似するせいだった。

アメリカ人ドラマー、レニー・ヘイズがイギリスをツアー中の話。お腹の調子が悪かった彼は、ある時突然バスルームに行きたくなった。いつも方向感覚がまったく欠如しているレニー、何をするのもひと苦労。ベッドから起き上がろうとして、頭から床に着地してしまう。その衝撃で最大威力の放射が起こり、天井の面積の3分の2が模様替えされる羽目に。メイドへの謝罪に20ポンド(4千円)のチップを置いた彼だった。

ここで言いたかったのは、人間は排泄物の姿、その臭い、そしてその実体の全てを、なるべく迅速に処理してしまいたいのが普通だということだ。ところがどっこいドイツ人は違う。違うどころかまったく逆で、わざわざ生け捕りにする。観察するためらしい。 .

いったい何を見つけようっていうんだろう?

混じっているべきでないものが混じってないか? たとえば肺とか? 小さな生き物が生息していたりとか? それともティーカップの底に残る澱のように、そのパターンで今日の運勢が分るんだろうか?

ちなみに僕が無礼なことを言う相手は、友達と思っている相手だけ。他の連中はさっさと地獄に行けばいい。


(c) Ian Gillan 1996

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