Archive Anecdotage

20. 電話

電話が鳴る。

「もしもし。」

「あ、何故記者会見をキャンセルしたんですか?」

「記者会見って、どの?」

「今日ブラジルのサントスで予定されていて中止になった記者会見ですが。」

「記者会見してる時間はなかったんです。事前にバンド側に問い合わせてくれれば、そんな事は最初から明らかだったのに。誰かが確認も取らずに勝手に決めたことだから、バンド側としては知らされてないことを『キャンセル』しようがないじゃないですか。」

「ファンクラブとしては困るんですよね、ディープ・パープルを宣伝するためにやって来てるのに。」

「はあ。」

「で、インタビューの方はどうなるんですか?」'

「インタビューって、どの?」

「記者会見の会場ですることになっていたインタビューです。」

「出来ることなら協力したいところなんですが、インタビューを組んでいる時間はなかったんで、どうしようもないです。大体僕はものすごく特別な例外を除いては、公演の日にはインタビューは絶対やりません。完全に無能な地元のプロモーターのお陰で、サン・パウロを出発したバン6台の内、サントスに時間通り到着したのは1台のみですよ。僕が乗ってたのは他の5台の1つで、車も運転手も両方全然役に立たない奴で、クルー、荷物、マネージメント、バンドメンバーがゴッチャになった車内から、いい景色をゆっくり楽しませて貰ったんですよ。予定に入っていない場所を色々回る羽目になって、1万キロ離れた我が家では家内が緊急に僕と相談したい用事があって、今もイライラしながらここに電話しようとしている最中だと思うんです。お腹も空いたし、ものすごく疲れているし、風邪をひきかけているような気もするし...」

「じゃあホテルのプールサイドでお待ちしてますよ。5時ぐらいでどうですか?」

ガチャン...

電話が鳴る。(また別の都市、別のホテルで。)

「もしもし。」

「ミースター・ギーラン、今何をしてるんですか?」

「どちら様ですか?」

「はい。」

「ふーん、そう。」

「今何をしてるんですか?」

「ダチョウとオラルセックスしてるところ。」

「は?」

「そう。」

「大学へは何時頃向かう予定ですか?」

「たぶん7:15頃かな。」

「そうですか、どうも。」

「いえいえ、どういたしまして。」

「それじゃ失礼いたします。」

「失礼いたします。」

電話が鳴る...

「もしもし。」

「ハイ、イアン! 元気?」

「どちら様で?」

「ジョージだよ、覚えてる?」

「やあ、ジョージか、元気でやってるかい?」'
(ジョージとはいったい誰なのか、まったく見当が付かない)

「部屋に行っていい?」

「何をしに?」

「つもる話もあるじゃん。」

「いや、今ちょっと忙しいので。」

「何やってんの?」

「物書きの最中だよ。」

「何書いてんだい?」'

「あんた誰?」

「ジョージだよ、覚えてない?」

「いや。」

「去年一緒にパーティしたじゃん。」

「アメリカ人の誰かと間違えてるんじゃないの? 僕のアメリカ人の知り合いは年中パーティーしてるし。」

「えっ、何?」

「多分人違いだと思うって。」

「部屋に行っていい?」

「ファック・オフ。」

この辺でもうウンザリ。


© Ian Gillan 1997

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